スマートフォンや自動車など、私たちが日常で使っている製品には電気を使用する機器が多くあります。また、近年は産業界のDX推進により、あらゆる業種でデジタル技術を使った機械化が進んでいます。
こうした電子機器や産業用機械などを作り上げるまでには、まず様々な部品を使った電子回路の設計が必要です。本記事では、電気を使った機器に不可欠な電気電子設計について解説していきます。
電気電子設計とは、電気を使った製品や機械などの設計に関する工程全般を意味します。開発する電子機器などの仕様を検討する開発段階から始まり、具体的な設計・図面作成、試作を行なって評価するなど、電気電子設計には実際に機器などを製造するまでのあらゆる作業が含まれます。
昨今は電気を使った製品や機械などの種類が多岐に渡っており、あらゆる業界で電気電子設計が必要とされています。
一般的に目にする機会の多い製品では家電や自動車、医療関係では医療機器といった機械のメーカーなどで電気電子設計が行われています。こうした製品に使われている半導体業界も伸びてきていることから、身近な製品の電気電子設計には多くの需要があることが分かります。
また、最近は生産性向上を目指す「スマートファクトリー」の観点から、工場で使用する産業用機械も増えています。産業用機械は製造するものに合わせて最適化する必要があるため、設計が複雑になってきています。
さらに、より高い設計のスキルが必要な業界としては、航空・宇宙関連の開発・製造などがあります。
前述の通り、電気電子設計の仕事は設計図の作成のみならず、開発段階から製造を行うまでの様々な業務を担います。主な仕事内容として、次のような作業工程が挙げられます。
・マネジメント業務
電気電子設計の過程全般におけるマネジメントを行います。
開発するプロダクトの目的や設計に携わるメンバー、日程など、プロジェクトに関わる内容を決めて管理します。
・調査と基本設計
企画者やクライアントとプロダクトの詳細を話し合い、基本設計を行います。
どういった製品・設備を必要としているのかといったニーズを踏まえた上でプロダクトの仕様を検討し、ブロック図などを作成します。この段階で、必要な部品などの選定も行います。
・回路設計
電子回路の設計を行います。電子回路はアナログ回路とデジタル回路があり、両方を組み合わせた回路が一般的です。
アナログ回路は電圧や電流などの連続した電気信号を変化させる回路で、デジタル回路が作動できる環境に変換することができます。CADを使用して、アナログ回路の設計を行います。
デジタル回路は「論理ゲート」という、0と1の信号を入力・出力して動作を機能させる回路です。デジタル回路の設計は、プログラミングで行います。
・IC設計
ICは集積回路の略で、電子機器に使われる部品のことです。規模が大きいものはLSI（大規模集積回路）と呼ばれます。「回路設計」の内容と同様に、アナログ回路とデジタル回路を組み合わせた設計を行います。
・レイアウト設計
ICチップなどの内部における部品の配置や配線を決める設計です。レイアウトによって不具合が起きることがあるため、特にLSIのような高度な集積度では重要な作業となります。
・試作と評価
試作品を作成し、評価を行います。
測定器や解析ソフトを使って、プロダクトの仕様に問題がないか検査します。
電気電子設計は専門的なスキルが必要な分野であるため、設計を担える人材確保が難しい場合があります。企業の状況によっては、電気電子設計を外部の企業へ依頼したいと考えることがあるかもしれません。
ここからは、電気電子設計を委託する場合のメリットとデメリットを考えていきます。
電気電子設計を委託するメリットは、
・電気電子設計におけるコストを削減できる
・着実なプロジェクトの計画が立てられる
という点が挙げられます。
自社に電気電子設計を担える人材が不足している場合、設計のスキルを持った人材確保から始めなければなりません。電気電子設計のエンジニアとなるには専門スキルと経験が必要ですが、専門的な人材の採用や育成にはかなりのコストがかかります。
その点、委託であればすでに専門スキルを持ったエンジニアにお任せできるため、こうしたコストを省くことができます。
また、着実なプロジェクトの見通しは企業にとって重要です。自社エンジニアの育成や設計のトラブルなどによって、スケジュール変更や予算超過などが起こると、さらなるコストの増加につながってしまいます。
委託では契約時に計画を立ててあらかじめ仕様や予算を取り決めるため、基本的に追加でコストが発生する心配はありません。エンジニアとして十分な専門スキルと実績を有する人材を揃えることで、最小限のコストで実現できる見通しを立てやすくなります。また、電気電子設計を受託している企業では、計画段階から経験を積んだプロフェッショナルがたずさわるため、依頼するにも安心です。
委託する際に気を付けるべき点は、
・企業の情報セキュリティリスクがある
・設計の変更がしにくい
ことです。
委託する際には社内情報の一部を委託先へ提供するため、必然的に情報漏洩のリスクは高まってしまいます。情報管理体制が整った委託先を選定したり、依頼の際には秘密保持契約を結んだりと、情報セキュリティ対策を意識する必要があります。
また、委託では仕様や予算などの詳細を最初に決めるため、変更が必要となった際にプロジェクトがスムーズに進まなくなる可能性があります。
こうした委託のデメリットを解消する方法として、エンジニアを派遣するサービスを利用するのもひとつの手です。エンジニアの派遣は、クライアントのニーズに合わせて必要な専門スキルを有した技術者が派遣され、社内に常駐して電気電子設計を行います。社内の指示に応じてフレキシブルな対応をしてもらえるので、委託よりも容易な仕様変更が可能です。
株式会社トップエンジニアリングでは、開発・設計技術者派遣を行なっており、幅広い分野で即戦力となるエンジニアのご紹介や設計開発業務の強力なサポートが可能です。「総合エンジニアリング企業」として、機械設計や電気電子設計、ソフトウェア開発、ITインフラなどに加え、プラント設計や生産技術など、様々な分野のエンジニアリングサービスを展開しています。弊社は、技術者派遣業界で唯一の「日本ディープラーニング協会」に加盟しており、製造業界の自動化やAI技術活用サービスの展開など、AIソリューションへ積極的な姿勢で取り組んでいます。
また、所属している人材は、弊社の研修センターにてビジネスマナーからエンジニアの心構え、分野別の専門知識まで、技術者になるための基本・応用をしっかりと学んでいます。派遣後も研修によってエンジニアの成長を支援しつつ、担当者によるきめ細かなフォローがございますので、情報セキュリティなどの様々なリスクに対しても安心してご利用いただけます。
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少子高齢化による働き手不足や新しい商品・サービスを生み出すビジネスの発展で、デジタル技術の活用は今後もますます進んでいくと見込まれます。しかし、電気電子設計のニーズは伸びていく一方で、設計を担えるエンジニアは足りていないのが現状です。
多様性が受け入れられ、個人の生き方や企業のあり方が移り変わっていくこれからの時代、ビジネスにおいても様々なニーズに合った形態を柔軟に取り入れていくことが必要となるでしょう。